7月17日、小谷中学校の3年生が茅葺き屋根の葺き替え作業を体験しました。現場は村内の古民家です。この建物は130年前に建てられたもので、総葺き替えは初めてです。
生徒たちが体験したのは「水切り茅の取り付け作業」。水切り茅とは、屋根の軒先に近い部分で、雨のあと最後まで濡れている場所のため、耐久性が求められます。草原シンポジウムで第2分科会の発表をしていただく松澤朋典さん他、小谷屋根の職人の皆さんのご指導のもと、順番に茅の束を縄でしっかりと縛り付けていきました。
「結構力が必要で大変」「道具や縄も自然の素材で手作りなのはすごい」という声も。責任ある仕事を任せてもらい、きっと記憶に残る体験になったことでしょう。松澤さんは最後に「今日の体験で昔の生活を感じてもらえたら。数十年後、自分が葺いたこの屋根を見に来てください。」と生徒にお話ししてくださいました。
この体験の前、5月には、東京農業大学の町田先生、武生先生による出張授業で、草原の生物多様性や牧の入茅場の土壌について勉強しました。今回、実際に牧の入で刈られた茅を使い、葺き替えを体験することで、茅場と生活のつながりを実感する機会となりました。
小谷中3年生の総合的な学習の授業では、「生徒自身が本当にやりたいことを」という精神を大切に、「わらび」「はちみつ」「高齢者」「草原(茅場)」の4つのテーマについて学びを深めています。「草原」チームを選択した生徒に理由を尋ねると、「大学の先生の話を聞いて、もっと知りたいと思ったから」「持続させたり、守ったりすることは大切だと感じたから」と教えてくれました。
10月4日(金)の午後に開催されるシンポジウムの第4分科会で、小谷中3年生が草原や、小谷の豊かな自然、地域の方々のなかで学んできたことを発表します。コーディネーターは東京農業大学の町田先生です。子どもたちの発表もぜひ楽しみにしてくださいね。